この星に生まれてくれて 抱き込んだ身体が思った以上に細くて、それがただ悲しくて思わず手に力を込めた。 「少し痛いぞ。」 苦笑しながら、そうラクウェルに言われてアルノーは慌て手を放す。 謝罪の言葉を口に出して彼女を見ると、また苦笑。 「放して欲しいとは言っていない。」 頬を赤らめて再び抗議。 長い睫が微かに震えて上目づかいに見てくる彼女を見ていると、胸の中にジワリと浮かんでくる暖かな思い。 彼女の頭を胸元に抱き締めて「もう苦情聞かない」なんて口に出して、彼女と一緒に産まれてくる想いを抱き締めた。 どんな厄災が彼女を襲ったのか、そして彼女の命がいつ尽きるのか、知ることなど出来はしない。…でもと心から思える。 『この星に生まれてくれてありがとう。』 彼女に聞こえるかどうかわからない程に小さな声で囁いた。 〜fin
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