あなたとわたし 「みなさんは?」 色とりどりの魚達が泳ぐ海の底。 何度目か潜って海面に出て見ると、ロディしかいない。 「これ以上浸かってたらふやけるって、皆上がったよ。」 そう言って、浜辺を指差した。そちらを見ると浜辺で甲羅干しなどをしているザック達が見えた。 「そうですか。」 その横顔をじっと見つめていたロディがセシリアの顔を覗き込むと眉を寄せた。 「セリシアの唇の色も良くないよ。上がろう?」 セリシアは自分の唇に手を当ててしばらく考えていたが、もう一度だけとロディに言う。 「だって、こんなに綺麗なお魚さん達はじめてみたんですもの。少しだけでいいんです。」 ロディは困ったように笑うと、手を差し出した。 「もう一度だけだよ。一緒に潜ろう。」 「はい。」 手を繋ぎあってからもう一度潜り、両手を繋いで浮かび上がった。 「よく見れた?」 ふるっと頭を振って水気をとばしながら問いかけてきたロディにセシリアは頬を染めて首を横に振った。 「なんで?」 まだ握り合ったままの手を見つめたまま、セシリアは呟く。 「だって、海の中であなたとわたしだけなんですもの。お魚さんどころではありませんでしたわ。」 content/ |