空に架かる虹


「あの、虹の下には宝物があるんですよ。」
 そう言ってアリスは微笑んだ。
 にわか雨が降った後、北の空に大きな虹が掛かっていた。
 初めて聞いた。そう言った後、ウルはこう問いかける。
「どんな?」
 その問いにアリスは一瞬きょとんとした顔をする。
「そうですね。ウルは何があると嬉しいですか?」
 う〜ん。と唸り『食い物?』と答えるウルにアリスは両手で口を覆ってくすくす笑い出す。
「それは素敵かもしれませんが、早く取りに行かないとそのままでは腐ってしまいそう。」
その笑顔が可愛らしくて、ウルも頬を染めた。


 あの時と同じ大きな虹が掛かっていた。
 ウルはそれを見ながら思う。
 もしも、俺の宝物があるというのなら、あそこにはきっとあの時のままの…。

〜Fin



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