貴方に愛の祝福を 「アリスちゃん〜〜〜〜。」 「もう知りません。」 ええ?俺何か気に触ること言った? アリスは両手で聖書をギュッと持ってスタスタと先に行ってしまう。 俺の規格外の脚なら、直ぐに追いつける距離だけど。 可愛い横顔が、怒ってますよって言ってる。 近付きたいけど、近付けない。 きっと今俺にわんこしっぽが付いていたら負け犬しっぽになっているにちがいない。 あ〜あんなに行っちゃったよ。…そう思ってたら、短いスカートを翻してアリスがくるりとこっちを向いた。 聖書に隠れた頬が微かに赤いのはなんでだろう。 そうして上目使いに俺を見て名前を呼んだ。 「ウル…。」 どきんと胸が鳴る。 「他の女性の方を不躾に見ないのでしたら、一緒に歩いて下さって構いません。」 ええ?ひょっとして、嫉妬してくれてたの! 「うっせいぞ女。俺が何見ようと勝手だろ!」 なんて憎まれ口を聴きながら、わんこのしっぽを振って彼女の側に向かう。ああもう、完全な飼い犬。けどその言葉、俺にとってなにより祝福なんだよな。 〜Fin
content/ |