あなたとわたし


 焚き火に照らされて目を覚ますと、隣から聞こえる寝息に気が付いた。
子供のように口を開けて、呑気に眠っている顔を見てしまうと正直呆れる。


『大丈夫だ。』
そう彼が大まじめで言うものだから。


(でも、二人だけですから朝まで起きているのは大変ですよ。)

そう言うと、胸をどんと叩いて
『俺は絶対アリスちゃんを守ってみせるから。』
なんて、頼もしい事を言ってくれたのに。


だから、獣だらけの草原で、あなたとわたしの二人だけだったけれど、安心して眠る気になったのに。


アリスは人差し指で、ウルの頬をつつく。
うにゃむにゃと言いながら彼は目覚めない。
(今度は私は起きていなくっちゃ)
小さな子供のように、幸せそうに眠るウルを見つめてアリスはクスリと微笑んだ。
きっと夢の中で、彼は私を守っているにちがいないけれど…。


「ウルったら…困った人。」

〜Fin



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