If for you...<


 買い物帰り道。
暑い日ざしで、喉も渇いた。
「アイスクリームでも食べよう。ね小狼君。」
サクラの申し出に、両手で紙袋を抱えた小狼も頷いた。

道端で売っていたアイスを買って、サクラは小狼に手渡す。
小狼は買い物袋を片手に持ち替えて、それを受け取るが片目が不自由な事もあり上手く食べる事が出来なかった。
日差しを浴びて、アイスはどんどん溶けていく。

「あ、小狼君!」

溶けて流れ出したソフトクリームに気付いたサクラは、唇を近付けた。
ペロリと舐め取る。
彼女の柔らかい舌の感覚を指に感じて、小狼は真っ赤になった。

「…さ、サクラ姫…。」

コーンではなく、彼の指までを舐めてしまった事に気が付くと、あっと声を上げてサクラも真っ赤になった。

「あの、あのね。私、小狼君のお手伝いをしたかっただけ…なのよ?」

二人の熱にあてられたように、今度こそ溶け出したクリームはぽたりと道路に落ちた。


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