救い


それはいつも、こう始まる。

「だいたい貴方は王子である自覚はあるのですか?」

それから、日頃の行いについて語られ、ちょびっと褒め言葉なんかが入ったりしてから終盤へとむかう。
それは、それは、…長い。

不甲斐ない王子であることは認めるので、言いたい事が山ほどあるのはわかるのだが、もう少し要約してもらえると助かるな。などと思う。
でもそんな事を思った時には既に相手に気付かれ、話しは更に増加の一途をたどる。導師だけならまだマシな方で、ラファーガが加わると攻撃の手は更に強まるのだ。

「だったら、城を抜け出さなければ宜しいでしょうに?」
クスリと笑った風に、フェリオは苦笑いを浮かべて庭園に寝ころんだ。
「頭でっかちになりたくないんだ。高いところからものを言うのは、他の人間には出来るかもしれないが…俺には無理だ。」
「正式に、ご訪問なさるとか方法はおありなのでは?」
「それは、普段の姿ではないし、やれ歓迎の準備だのと、皆によけいな負担を掛ける事になる。」
彼が腕には自信があるのはわかるのだが、護衛も付けずに外歩きをされるのは、クレフ達にとっては溜まったものではないだろうと、風はまたクスクスと笑いだした。
「私達が参ったのは、そのお小言の最中だったのですね。」
ああ、とフェリオは口にすると、くるりと風の方を向く。
「何はともあれ、来てくれて助かった。」
そうして、フェリオは安堵の溜息をつく。


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