ようこそ 海編(ver.クレフ)


「はじめまして、いつもウミにはお世話になっております。」
 そう言い、深々と頭を下げた少年に、龍咲夫婦も丁寧に頭を下げる。
「まぁ、お小さいのに、お行儀がいいのねぇ。」
 龍咲ママは感嘆の声を上げた。「それにお人形みたいに可愛いわ。」
「まぁ、座ってお茶でも。」
 そう言って、椅子をすすめた龍咲パパに、クレフは小さな包みを差し出した。
  「折角ご招待していただいたので、手土産を持参したのですが…。」
「なんでしょうか?」
 龍咲パパが包みを開けると、日本で言うところの干菓子が乗っていた。お菓子とクレフの容貌が結びつかないので思わず目をパチクリさせてしまう。
「…いや、これは、渋い趣味だね。ご両親か何かからの手土産でしょうか?」
「いやいや、私の趣味で。お口に合うかどうかわかりませんが、私のような者になると、甘いのものが欲しくても量があるものより、こういった菓子の方が好きでして…。お恥ずかしい。」
 にこにこと笑顔を絶やさないクレフに、龍咲夫婦も愛想笑いを返す。

何かが、おかしい。
 何か違和感がある。

 しかし、二人の脳裏には答えが浮かばない。
「クレフお茶入れるわ。何がいい?」
 そう海に声を掛けられ、クレフが即答する。
「煎茶がいいな。」
 OKと指で答えて、一度海が引っ込むと、龍咲夫婦は違和感の意味を探そうとクレフを質問責めにしてみたが、渋い子供…ということに結論づいたようだった。
「でも、海の彼氏がこんな年下の方だとは思わなかったなぁ。」
「そうねえ。」
 後ろ頭に手をやりつつ、はははと笑う父とほほほと頷く母の間から海が顔を出した。
「何言ってるのよ。パパ、ママ。」
 そう言って、クレフの前に湯飲みを置くと海はにっこりと微笑んだ。
「クレフは700歳越えているのよ。私達年の差カップルなんだからvvvv」
 海の言葉に、両親が固まったのは言うまでも無い。

〜Fin



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