ようこそ 海編(ver.アスコット) 「遠いところからよく来てくれたね。」 龍咲パパはにこにこと笑顔を崩さないまま、愛娘がつれてきた男をまじまじと見つめた。 熱い視線を感じてアスコットは、その高い背がなんとか折り曲げられないだろうかと言わんばかりに小さく背をまるめている。大きな帽子に隠された顔は赤くなっていた。 「まぁパパそんなに見つめたら困ってしまいますわ。」 ホホと口元に手をあてて、龍咲ママがアスコットの横からカップを差し出した。 「ごめんなさいね。パパがどうしても貴方にお会いしたいって言い出して。無理をお願いしちゃったわね。」 「いえっ、そのっ」 どもりながら答えたアスコットを見た龍咲ママは、思いたったようにアスコットの帽子に手を添える。 「お家の中では帽子はとりましょうね。」 そう言って、慌てるアスコットから帽子をとると、悲鳴を上げた。 「どうしたんだね。ママ!」 「だって、可愛いお顔なんですもの〜。」 「ええ!?」 「ほうほう、どれどれ〜。」 「パパ、ママ、」アスコットが怖がっているでしょう?」 自作のケーキを取りに行っていた海がリビングに戻ってくると、ソファーの隅っこに追い詰められたアスコットと、両手を合わせて顔の横に置きながらハートを飛ばす龍咲ママと顎に手を当てたままジッと見つめている龍咲パパ。 「だって、だって、海ちゃんの彼氏って随分可愛らしいんですもの。」 「パパは彼と海との進行具合が気になってね。」 一瞬きょとんとした顔をした海はクスクスと笑い出す。 「違うわよ。パパ、ママ。ねぇアスコット、私達お友達よね。」 そう言われて、海ににっこり微笑まれ目尻の涙を浮かべるアスコットであった。 〜Fin
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