「決着はつきましたわね。」

 地に伏した相手を見下ろして、フウは剣を戻す。
手を出すなと彼女に言われていたフェリオも、黙って歩き出したフウの後を追う。
 悔しげな声が聞こえていたが、フウは敢えて取り合わなかった。
何も無かったように、ただ先へと進む。
 余計な殺生を望まない事が彼女の願いで、負の感情が螺旋となって繋がってしまうのを防ぎたいのだとしても、相手が好意的に取るとは限らないのだ。

 フウの後を追い、剣を付きたてようとした相手をフェリオは己の剣で制した。
踊り場に上がっているフウは気付いていない事を確認し、返す刃で相手の胸元を貫いた。

「あいつを守る事が俺の望みだ。」

 何があっても、フェリオはそう呟きゆっくりとフウの後を追った。
     


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