「ちょっと、貴方達いい加減にして頂戴。」
 ギイと開いた扉の奥から、アルシオーネが姿を現す。
宝塚の階段を思わせる長く幅広い段が空に向かって伸びていた。彼女はそれを妖艶な仕草で下りてくる。
「ご無沙汰しております。」
 あら、と微笑んだフウはペコリと頭を下げた。その様子を眉を大いに歪めたアルシオーネが見下ろした。
「どういう神経をしているのかしら、貴方達は。」
「おい、どうして魔物がいないんだ。」
 呆れた様子のアルシオーネに、フェリオが問いかければ彼女はフンと鼻を鳴らした。

「この深淵まで来た相手に雑魚は通用しないでしょう?」

 そして、キュッと唇を噛みしめた。

「さあ、私と戦いなさい。倒せば、魔王の待つ場所はすぐ其処よ。」  


戦わない 戦う