チゼータの姉妹に聞いた情報通り、幾重にも重なる岩の隙間を潜ると古い神殿跡が姿を見せた。それでも、ピカピカに磨き上げられた玄関にフウはホウと息を吐いた。 「これちらが、魔王の住まいですのね。」 フウの問いかけに、フェリオもああと頷いた。 「…随分と、不自由な場所にお住まいなんですのね。お買物とかどうしていらっしゃるんでしょうか?」 「通販じゃないか?」 事も無げにフェリオが言い放つ。しかし、フウは尚も眉を潜ませる。 「それでしたら、配達員の方がお気の毒ですわ。もう少し人里に下りていらっしゃるといいでしょうに。」 「あのさ、魔王が配達員の苦労を気にしてたら、世界征服とか出来ないんじゃないかな?」 どうにも間の抜けた勇者一向の会話に、気が抜けたの襲ってくる魔物の一匹ですら現れなかった。 そして、玄関ホールを抜けた先に大きな扉。フウはその取っ手に手を掛けた 右側を開ける 左側を開ける |