タータとタトラの住まいで道草を食ってしまったせいだろう、。夜はとっぷりと暮れていた。  フウは足を止め、フェリオを振り返る。 「ところで、いまから魔窟に向かう訳にも参りませんし、この当たりで休みませんか?」
 廃墟しかない場所ではあったが、取り敢えず休む場所はありそうだ。
「呑気なもんだな、お前は。」
 フウとは不思議な勇者だと、フェリオは思う。
勿論馬鹿じゃない、どちらかと言えば沈着冷静な少女だ。なのに、何処か少しだけ抜けていて、 時々、あどけない少女の表情を見せてくる。
 その差が自分の心を捉えるにかもしれないなと、そう思うのだ。
 クスクス笑いながら、フェリオはどこか休めそうな場所を探し始めた。
 


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