「そう思われても、俺も困るからさ。」
 困った表情でそう告げ、 フェリオは予備の枕とシーツを探して廊下へ出て扉を閉めた。
 バタンと響いた音に拒絶を感じ、フウは扉越しにフェリオに話し掛けた。
「よろしいのですか?」
『野宿なら馴れてる。屋根があるだけマシだよ。』
 バサバサとシーツを広げている音には申し訳ないと感じる。ツマラナイ事を申し上げてしまっただろうか。
「フェリオさん。あの、私、信用出来ない方と旅は致しませんから…。」
 細い声に、フェリオもフウの心情を感じ取ったのだろう。クスリと笑う声がした。 『わかってる。俺もそんな奴と旅はしたくない。
 明日も早いんだろ?さっさと寝ようぜ、勇者殿』
「はい。おやすみなさいませ。」
 扉にそっと掌を押し当てる。おやすみなさいのキスを頬に落とすように、目を閉じてから、ベッドへと向かった。
 だから ポツリと呟いた声は、フウの耳には届かなかった。
『まあ、ちょっと可愛いなんて思ったりしたから、頭を冷やすのは調度いいよ。』」

ほたてのほ様




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