肌の露出が激しい衣装を身に纏った女性が、ふわりと身を躍らせる。 腰まで伸びた長い黒髪が風に舞った。 「…本当に、子供ね。」 　唇を小指の先で弄る仕草は艶があった。けれど、その美貌には毒が垣間見える。 フウは眉を歪めた。 「どちらさまですか？」 「私は（魔導士のアルシオーネ）魔王の関係者そう言えば、用向きがわかるかしら？」 　胸元を押し上げる仕草で腕を組み、フェリオを見て目を眇めた。そして、ギリと唇を噛みしめ、睨みつける。 「エメロードの…弟…。」 　その言葉に、フェリオが息を飲む。一瞬防御を忘れ、無防備に相手に詰め寄った。 「お前、なんで姉上の事を知っている！」 「殺してあげるわ、あの男のようにね！！」 　フェリオの問いに答える事もなく、アルシオーネは腕を振り上げる。 「氷尖撃射！」 「守りの風！」 　鋭い氷の刃が幾つも生まれる魔法は、咄嗟に放ったフウの防御の前で弾かれる。それでも、魔法力は彼女の方が上らしく、幾つかの刃がフウとフェリオの身体に傷を残していた。 「意外とやるわね。」 　舌打ちをしたアルシオーネに今度はフウが問いかける。 「あの男とは、森で亡くなっていた方でしょうか？」 　冷ややかなフウの声に、アルシオーネはピクリと眉を上げた。けれど、ふふふと怪しく笑う。 「そう、死んだの。それは、可哀想だったわねぇ。好きな女の為に逃げだしたのに。」 「貴女が手を掛けたのですね。」 　フウは剣をアルシオーネに向かって突き出した。同じく剣を構えたフェリオが、フウに問いかけた。 「…どうする？」 橋へ向かう 戦う 崖へ向かう