「…お前負けじゃ。」
 アスカは鼻の穴を大きく膨らませて宣言した。
「え、ええええええ!?なんで俺が!?っていうか、何もしてないじゃないか!」
「アルシオーネには爺に対して恩があるからの、取り敢えずお前が負けなのじゃ。」

   とんでもない理屈ではあったが、彼女に勝負を頼んだ以上、審判はアスカであることは覆るはずもない。

「残念だったわね。」
 コロコロと笑うアルシオーネに、苦虫を潰した表情を崩さないフェリオを見つめながら、フウは溜息を付いた。
「私達どうなってしまうのでしょうか?」
「それよね。本音を言えば別にアナタ達なんてどうでもいいのよ。
 エメロードの弟が苦しんでさえくれればもっといいんだけど。」
 失礼千万な物言いにも反論出来ない。…と、暖簾を潜りプレセアが顔を覗かせる。
「アルシオーネがいるって聞いたんだけど…あらフウじゃないの?」
「まあ、プレセアさん。ご無沙汰しております。」
 諸事情を聞いたプレセアは、満面の笑顔でこう提案する。
「じゃあ、私が借り受けるわ。もう屋敷が汚くて汚くて、手に負えない状態だったのよ?。」
「アナタには借りがあるから、いいけど…。」
 どうやらアルシオーネとプレセアは旧知の仲らしく、ふたりの使役権はいとも簡単に、プレセアに譲渡されてしまった。

「暫くはプレセアさんのお宅の平和を守らなければならないようですわね。」

 フウは頬に手を当てて大きな溜息を吐いた。

〜To Be Continued?