何とか森の出口を探しあてて進んでいれば、ガサリと物音のする茂みを見つけた。
 垣根のような草叢を掻き分ると、羊達がのどかに草を食んでいる牧場のようだ。
 柵の側に長い三つ編みを揺らした赤毛の少女が立っていた。

3児の母様

 そのすぐ横には、羊を狙って現れた魔物(少女の三倍近く背丈がある)がヒクヒクと断末魔の痙攣をおこし倒れていた。
「あれ、フウちゃん。どうしたの?」
 振り返った少女が屈託ない笑顔を向けた。
「私、セフィーロを救う旅をしておりましたの。でもヒカルさんにお逢いするなんて、きっと道に迷ってしまったんですわね。」
 困りましたわ。と頬に手を当てて左側に首を傾げるフウを見て、ヒカルはパンと両手を胸元で打った。
 良い考えが浮かんだと、そう告げる。
「私もセフィーロの魔王退治を手伝うよ、ね。いいでしょう、ランティス、イーグル。」
 無言で頷いたのは黒衣の大男、ニコニコと微笑んだのは白衣を纏った細身の男だ 。

3児の母様

「ヒカルに異論などありません。いっそ殺してくれと懇願するほどに痛めつけてやりましょう。」
 笑顔を崩さぬままに言ってのけた台詞に、フェリオの背中に冷たいものが流れる。
おまけに、口端だけを上げる大男も異常なまでのやる気に満ちていた。
(…こんな奴等に頼んで大丈夫なのか?)
 ふたりの返事にやったぁとはしゃぐヒカルは、慌てるフウとフェリオをそのままに、彼等に命令を下す。
「さっさとやっつけちゃおう!」
 勇ましい掛け声と供に、三人は勢い良く走り出した。
 魔王の壊滅と一緒に、セフィーロの壊滅を知る未来が待っていようとは、フウもフェリオも想像だにしてはいなかった。


〜To Be Continued?