道を進んでいると、ガサリと物音のする茂みを見つけた。
 フウは小首を傾げ、クルリとフェリオを振り返った。
「また、魔物さんでしょうか?」
 言葉は疑問形だが、弓なりになった翠の瞳が覗いてみろと告げていた。フェリオは、はぁと溜息をつく。
「…物好き…。」
 無視して進めばいいものを、彼女は藪を突いて蛇を出そうというのだから始末に負えない。理由を聞けば、(罠があるかもしれません)とか(出口かもしれません)と答えるに決まっている。
 強ち無視する意見でもないので結局、フェリオは垣根のような草叢を掻き分けた。
 そして、覗き込んだフウはあっと声を上げた。
草叢に倒れこんでいたのは、魔物ではなく人間だった。それは…


金色の髪をした青年だった
黒く長髪の青年が倒れていた