『意外と真面目な方ですわね。』

3児の母様


 フウは躊躇う事なく、自分の手を掴んで逃げ続けるフェリオに奇妙な関心をしつつ、周囲に目を向けた。
 そして、逃げるのに必死になっているフェリオの肩をチョイチョイと突く。 「この忙しい時になんだ!!」
 怒鳴りながらも、振り返る顔に、フウは人差し指を付きつける。
「あそこに屋敷がありますわよ?」
 二人の視線の先には、大きな屋敷が佇んでいる。
フェリオの目が一瞬点に変わった。
「沈黙の森にこんな屋敷があるなんて、聞いた事もないぞ!?」
「でも、現にこうして目の前にあるのですから、入らない手はありませんわ。」
 二人は転がるように、扉の中へと逃げ込んだ。



next