書きかけ放置


ついてきますね。
 街へと買い出しに出たディストは、背後に感じる気配に窪んだ目を益々細めた。ひょろりと長い手足は、糸に操られたようにふわふわと進む。
本当ならシェリダンにでも行きたいところなのだが、流石にそれは許可されない。仕方なくグランコクマで漁れる材料を探しに来たのだ。
 アイデアが思い浮かんだら、直ぐに形にしたくなるのは、研究者として性のようなものか、数日後に届く材料を待っていられないのだ。
 この気持ちは、未だに崇拝の域に鎮座する幼馴染みと共通するものだろう。

「しかし、しつこいですね。」
 物取りにしては殺気は感じられないが、付きまとわれるのは好きではない。足早に路地に入り込み相手を誘う。
 壁陰から様子を伺うと、塀と塀の隙間、少しばかり距離がある先で人影が立ち止まる。距離と逆行で人物の特定は出来ない。しかし、その人物が纏を被っていることに気付くと、声が出た。
 
「ピ、ピオニー!?」 

 叫び声に気付いた相手が、おお!などと言いながらスタスタと歩いて…。
この世界を二分するマルクト帝国の現皇帝 ピオニー・ウパラ・マルクト9世が警護の兵もつけずにスタスタとこんな町中を歩いて…。

歩…いて…

「何やってるんですか、貴方はぁあああ!!!!」
 
 目の前でにっこり笑った相手に、サフィールは罵倒の言葉を吐きかけた。

「買い物。」
 この時期は、果実を使ったシャーベットが上手いからお前に喰わせてやとうと思ったんだと告げ、お前何が好きだっけ?と聞いてきた。
 その貌は、自分の叫びなどまるで意に介していないようで、空いたままのディストの口を更に広げるのを手伝った。


〜To Be Continued?



content/