思いつきガイピオ ※世間の波に乗ろうとして大失敗。勢い(だけ)で書いたガイ→ピオニー←ジェイドです。 黒いガイ様の許せる方お願いします。 額に張りついた髪が鬱陶しい。流れ落ちていく油汗が、視界を奪う。ピオニーは普段は片手でこと足りる剣を、両手で構えなんとか形を保った。 暗殺者のご登場など、別段珍しいものでは無い。 不覚をとるつもりなど、毛頭なかったが、刃に仕込まれた毒は己の許容出来る代物ではない。よく調べてやがるぜ。 おまけに大した手練れで、この太刀筋。そう、これはホドの…。 「もう、茶番は止めようぜ、ガイラルディア。」 一瞬構えた刃が揺れた。 挑発に乗ってくるかどうかは、賭けだったがどうやら成功したようだ。剣をこちらへ向けたまま暗殺者は、貌を覆う纏を剥ぐ。 「…まだ、チームを離れる訳にはいかなかったんですけどね。」 人好きのする笑みを浮かべてガイは、跪くピオニーを見下ろした。月光に短い金髪が光る。 まるで、刃だ。その寒々とした輝きは…。 思って、ピオニーは唇で弧をつくる。本当は口を開くのさえ億劫だが、時間稼ぎにはこの方法しかない。 「だったら、狙う相手を間違えたな…。しかし、お前は…ルークをも裏切るのか。」 口の中、唾液には酸っぱいものが混じるのを飲み込む。揺れる視界は、月光を背にした青年の姿を揺らしていた。 「端から…あれは、敵の息子でしょう?それ以上でもそれ以下でも無い。アッシュやナタリアに比べれば、若干同情の意もありますけど?」 くくくっと、ついぞ聞いたこともない含みを帯びた声で嗤う。 「聞こえるんですよね。 月並みなんですけど、姉上や両親や死んでいった者達の声が、どんなに耳を塞いでも、消えないんです。どうして、貴方だけ生きているのって…。」 「そんなもん、俺だってしょっちゅうだ。自慢になるか…。」 ゼイハアと荒い息の合間に吐き捨てたピオニーの言葉に、ガイは張り付けていた笑顔を落とした。 「わかってました。だから、その強さが…。」 欲しかった。たとえ、この男の目が、旦那を向いていたとしても。 剣を奪い、寝台に押し倒す。脅えた表情を見せた相手に、ガイは己の貌に笑みが浮かんでくるのを隠せない。目の前の皇帝はこの行為を知らないのだ。 「てっきり、旦那のお手つきだと思ってました。」 「ふ…ざけるな…。」 藻掻く身体を抑えつけて、肌を重ねる。 「流石に、違いますね…。あいつは簡単に堕ちたのに。」 クスリと嗤う相手の吐息が首筋に当たり、押し当てられる柔らかな唇の感覚。 毒の熱か、欲望の熱か、身体中を巡るそれに、クラクラする。ピオニーはぐっと唇を噛み締めた。今、意識を手放すわけにはいかない。 もう少しで…。 「一緒に逝きましょう。陛下。」 歌うようなガイの声。残酷さの欠片もない柔らかな声色。 「苦しむ事も、悲しくなる事もない場所へ、貴方をお連れしたいんです。」 エルドラント、ヴァンの横にいたガイの姿に、ルークの落胆の色は隠せない。 しかし、他のメンバーは睨み付ける視線の強さはあったものの驚愕の表情は見られなかった。 予め皆知っていた…そういう事だ。それを悟り、自分を罵る言葉の出て来ないメンバーにお人好しだとガイは嗤った。そして、何も告げず自分を見つめる大佐の様子に感じるのは優越感だ。 絶対に勝つ事が敵わぬ相手から、あの輝きを奪ってやったのだ。 しかし、それに伴って混迷を見せると思われた戦いは、ガイの思い通りには進まなかった。ジェイドは冷静で戦いに隙など見られない。反対に動揺したのは、寧ろガイの方だった。 ジェイドは、手にした槍をガイの喉元に突きつけて、初めて嗤う。 「随分と落ち着いて…「皇帝陛下は存命ですよ。残念ですね。」」 ガイの眼がギョッと見開かれる。確かにとどめを刺す暇はなかったが、あの時間帯は人払いをしていて誰も近寄らない。朝発見されたところで手遅れだったはずだ。 「生憎、陛下は私のものですから。連れていくのは私の役目ですよ。」 冷たいガイの眼に、初めてうっすらと感情が宿る。ジェイドの緋石が笑みを帯びて細められた。 あの時、陛下は旦那を待っていた、それが答えだ。さしたる抵抗が見られなかったのは毒のせいだけではなかったのだ。旦那を信じて、時間稼ぎをされていた。 ガイはぎりと歯を合わせ不快な音を立てる。それを受けてジェイドはクスクスッと声を出す。 「こんな事をせずに、正々堂々と私と争えば良かったんですよ。戦って、彼の心を手に入れれば良かった。そうすれば、貴方にだって可能性がなかった訳じゃない。」 ブウサギの世話をしている己に向けられた、ピオニーの柔らかな笑みを思い浮かべガイは吐息を漏らした。確信の笑みがガイを捕らえる。 「だったら今、俺が連れていくよ、旦那。」 う〜ん。ジェイド以外の相手を書こうとするとどうして、鬼畜になってしまうのだろうか。(笑 content/ |