indications of put an end 幾らなんでも甘えすぎだろう。ジェイドはまだ仕事の最中だ。 ピオニーはジェイドの申し出を断り、ホテルを後にした。未だ、眩いイルミネーションが輝く街だが、一歩裏へ回れば、暗い路地が続く場所でもある。 華やかさと暗さ。両方が隣り合って寄り添う街は、舞台という代物と良く似ているとピオニーは思った。 本当なら、タクシーを拾って借りているアパートへ戻るのが安全なのだろうが、暫くは歩いてみようなどと思ったのはそのせいだったのかもしれない。大きな通りだ。行き交う人々数はそこまで多くはなかったけれど、身に迫る危険は感じられなかった。 嗚呼、ひょっとしたらまだ熱に浮かれているのか…。 そこまで考え、ピオニーは口元を手で覆った。自然と熱くなっていく頬をどうすることも出来ない。あの夢がおぼろげな記憶として蘇る。 「う゛〜〜〜〜っ。」 コントロール出来ない思考に戸惑い、足が止まった。 視線がそちらへ向いたのは恐らく偶然だった。男が足早に近付いてくる。奇妙な感覚にピオニーは男を凝視してしまった。 ピオニーの視線に気付いたのか、男はコートからサングラスを取り出した。そしてすれ違う。誘われるように振り返ったピオニーは、彼がさっきまで自分がいたホテルへ入っていくを目にした。 とても、そんな高級ホテルに用があるようには思えないがな…。ピオニーは胸に湧いた感想を、小さな呟きとともに吐き出した。 → content/ |