indications of put an end


「お前、ハンカチは?」
 涙でくしゃくしゃのルークにアッシュが尋ねると、ううんないと言いながら、上着の袖で顔を拭った。白い上着が汚れ、アッシュが顔を顰めた。
「この屑!そんなところで拭くんじゃない。ったく、脱げ洗ってやるから。」
「あ…ごめん。アッシュ。」
 素直に上着を脱いでアッシュに渡すと、背伸びをしながら水を流しながら袖についた汚れを落としてやる。
「学園の制服だっていうのに、もう…。」
 ぶつくさと文句を言いながらもアッシュの手は止まる事はない。
「良いお兄ちゃんだな。」
 ピオニーの問いに、ルークは満面の笑顔で大好きと返した。振り返りはしなかったが、アッシュは耳まで真っ赤になっていて、ピオニーの笑いを誘う。
 そして、シャツ一枚のルークがくしゅんと嚔をした。今度はアッシュは振り返り、お揃いの上着を脱ぐとルークに渡す。
「着てろ。風邪でも引かれるとやっかいだからな。」
「うん、ごめんなさい。」
 しょぼくれたルークに、一瞬しまったという表情を見せたアッシュはピオニーが見ている事に気付くと、ぷいと洗面台へ戻る。
「…僕、いっつもアッシュに迷惑かけてて足手まといなんだ。」
 また、泣きそうになる子供にピオニーはそっと耳打ちをする。
「そんな事はないさ、今度はルークがアッシュを助けるかもしれない。そうだろ?」
 ルークの顔が少しだけ綻んで、ピオニーも笑った。





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