indications of put an end


 ジェイドは踏み込んできた警官達に後を任せ、他の警官に質問を受けていたピオニーの元へ来ると、有無を言わさず頬を張った。
「危険な事はおやめなさいと言ったはずです。」
 怒りを露わにした態度とは裏腹な、紅い瞳が不安定に揺れているのに気付いて、ピオニーは息を飲む。
「一歩間違えば、貴方は死んでいたんですよ。」
「…すまない。」
 ひりひりと痛む頬が、まるでジェイドの苛立ちのようで、ピオニーから反論を奪う。ジェイドの声を俯いたまま聞き入れる。
「目指しているものも未来もその瞬間に全て消えるんです。無鉄砲もいい加減にしなさい!」
 怒りの収まらない様子ではあったが、上がった拳は降ろされた。大きな溜息と共に栗色の髪は風に舞う。
「アニス、私は子爵達をお送りしますので、この馬鹿を頼みます。」
「はぁ〜い。」
 ピオニーの謝罪を聞き入れる事なく立ち去るジェイドに、言葉もない。こっちですぅ。とアニスに呼ばれて、ピオニーは苦笑いを浮かべた。
「酷く怒らせちまったな。」
 きょんとした表情のアニスが、唇に指をおいて小首を傾げてから笑った。
「私、大佐とはつき合い長いんですけどぉ〜。あんな貌させる人なんて、始めてみました。」
「へ?」
 にこにこと愛想の良い笑顔のまま、少女は言葉を続けた。
「特別…なんじゃないですか?」 
 途端、ピオニーの蒼穹は大きく見開かれた。





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