indications of put an end


「うぐぉおぅ。」
 断末魔の声は、ピオニーからは上がらなかった。見張りをしていた男が、股間を両手で押さえて床に突っ伏す。コンクリートの床にごんと景気の良い音がした。
 悶絶した男の背中越し、ルークが鼻息を荒くしているのが見えて、アッシュは目を丸くする。
「アッシュは俺が守るんだ!!」
 未だ、ピオニーに銃を向けたままの男に向かって言い放つ。
 無表情な顔が、目の前の得物からそちらへ動いた僅かな間に、ピオニーはアッシュを抱えて横に飛び退く。そして、再び向けられた銃が彼等を打ち抜く事は有り得なかった。
 ピオニーが背中を預けていた高く積み上げられた木箱の上から、ジェイドが男に向かって飛び掛かった。背中を踏みつけ、銃を蹴り飛ばすと、踵のある靴で後頭部を踏み抜く。
 悲鳴が床に吸い込まれて消えた。

「アッシュ!」
 たたっと走り寄って来たルークに抱き付いて、アッシュは顔を埋める。屑がっと、啜り泣く声の間から聞こえると、ピオニーは思わず吹き出した。ルークも、うんうんと頷き、兄の無事に涙を滲ませた。





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