indications of put an end


 ルークのお礼は、此処にほど近い公園で売られているアイスクリームだった。
何度か車で通る度に見かけ、食べたかったらしい。
 勿論、買いに行く事などジェイドがOKを出すはずもなく、双子は車で留守番。ピオニーとジェイドが買い出し係となった。
 運転手兼任ボディーガードの男を車に残し、且つロックを外さないようにと注意をしてから自分に付いてきたジェイドに、ピオニーは不審な顔をする。
「俺ひとりでも平気なのに。」
「ああ、気になさらないで下さい。口に入る物に細工されても困るものですから。」
 にっこりと微笑まれ、ピオニーは複雑な心境で黙り込む。
 そんな言葉だけでもはっきりと分かる。ジェイドは本当にプロなのだと思う。
 友人とも呼べない男に対して、この再会でも随分と迷惑を掛けた気がして、ピオニーの心は一気に後悔で埋め尽くされる。そんな権利など、自分にあるとは思えない。
「…色々つまらない算段をさせて悪かったな。」
「別に貴方が悪い訳ではありませんよ。それに、私も貴方が出ている舞台が見たくなかったと言えば嘘になりますから。」
 にこりと微笑むジェイドに、言葉が詰まる。
「う…。お前それ、反則。」
 微かに頬を染めて、ピオニーは顔を綻ばせる。
「嬉しいとか、素直に思っちまうじゃないか。」
「私は、貴方という役者は決して嫌いではありませんよ。寧ろ好きな方でしょうか?」
 クスクスと笑うジェイドは、柔らかな笑みを浮かべている。
 ふわりと、風がジェイドの髪を揺らし、鼻を擽る甘い香りは、ピオニーに夢を思い出させた。
 誘われるようにジェイドの唇にゆっくり顔を近付ける。

→キスをしない
→キスをする



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