indications of put an end


 数日後、謝罪という名の食事会に招待されたピオニーは、一体誰が誰に謝罪するものなのかと絶句した。
 楽屋の裏に横付けされたり百足みたいに長いリムジンは、その舞台の主役が使用しているものよりも遙かにでかい。人々の熱い視線…は、この際どうでもいいが、間違った主旨に賛同する気持ちにはなれなかった。
「ジェイド…俺は乗らないぞ。」
「貴方ならそう言うと思いましたよ。」
 酌に障る笑みを浮かべたジェイドは、すとピオニーに名刺を差しだす。
 書き込まれていたのは、先のホテルのレストランだった。丁寧な字を見つめていた、ピオニーは首を傾げる。
「これが、お前の字か?」
「そうですよ。」
「じゃあ、この間の呼出はお前じゃあなかったのか?」
「ああ、あれは私の雇い主、ファブレ侯爵の申し出ですよ。気を効かせたつもりだったのでしょう。」
「ふうん。」
 ぴらぴらと名刺を指の間に挟み、玩んでいるピオニーの危機感のなさにジェイドはクスリと笑う。自身が何をされようとしていたのか、彼は全く気付いていない。
 それどころか、あの夜の出来事を夢だと思い込み疑おうともしていなかった。
「知らない方についていくと、食べられてしまいますよ?」
 ジェイドにそう告げられてなお、ピオニーは不思議そうに首を傾げた。




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